【顧客事例】国⽴⼤学法⼈ ⼭形⼤学 地域教育⽂化学部様

スポーツのパフォーマンスを向上させるためのシミュレーションツール

⼭形⼤学 地域教育⽂化学部 システム情報学コースの瀬尾和哉教授は、スポーツにおける⼈間の動きと、そこで使⽤される⽤具をうまく調和させることによって、いかにパフォーマンスを上げるか、いかにケガを減らすかを、実験や物理シミュレーションツールを使って研究している。2016 年7 ⽉にはスポーツ⼯学分野の世界最⾼の賞である国際スポーツ⼯学会フェロー(世界で4 ⼈⽬、⽇本⼈では2 ⼈⽬)を受賞した、⽇本のスポーツ⼯学をリードする代表的研究者の⼀⼈だ。まだまだ発展途上にあるスポーツ⼯学において、シミュレーションツールはどのような役割を担っているのか、お話を伺った。

国⽴⼤学法⼈ ⼭形⼤学 地域教育学部 システム情報学コース 教授 博⼠(⼯学) 瀬尾 和哉 ⽒ 国際スポーツ⼯学会 フェロー国⽴⼤学法⼈ ⼭形⼤学 地域教育学部
システム情報学コース
教授 博⼠(⼯学)
瀬尾 和哉 ⽒
国際スポーツ⼯学会 フェロー

スポーツ⼯学がもたらすメリットとは

⽇本におけるスポーツ⼯学の歴史は、ミウラ折りで知られる東京⼤学の三浦公亮名誉教授が1986 年に⽇本機械学会の中に「スポーツ⼯学に関する調査会」を作ったことに始まる。これは世界的に⾒ても早く、海外では同時期にイギリスのシェフィールドでも同じような動きがあり、1996 年には国際スポーツ⼯学会が発⾜した。「⼈間の健康寿命を延ばすことにスポーツは⽋かせません。医師によると健常者は運動した⽅がいいが、障害者や⾼齢者は運動しなければならないそうです。運動を続けるためにはケガをしないように⽤具への⼼配りも必要です。それが我々スポーツ⼯学研究者ができることなのです」と瀬尾教授は話す。

スポーツ⼯学はもちろん記録を⽬指すことにもつながる。⼈間にできなかったような動きと、さらにその動きにあう⽤具の両⽅を提案できて、そこから世界記録が⽣まれれば理想的という。また、⾞いすのアスリートが投てき競技をする場合、上半⾝しか使えないので健常者の投げ⽅とは異なる投げ⽅になる。そうしたとき、健常者と同じ⽤具でいいのか、どうしたら競技者のパフォーマンスを引き出せるかといったこともスポーツ⼯学の応⽤例だ。

国内で開かれるスポーツ⼯学の年次⼤会「スポーツ⼯学・ヒューマンダイナミックス(SHD)」には200 ⼈以上の研究者が参加するが、その半分以上は機械⼯学を専⾨としている。SHD では、⼈間の内部の神秘に迫ろうとする研究も盛んに発表されている。例えば、筋繊維⼀本⼀本を模擬したシミュレーションと⽤具を協調させ、パフォーマンス向上を⽬指す研究等である。

img1スポーツ⼯学の応⽤例︓カヌー
流速1.8m/sec での⽔⾯上にカヌーを浮かべた場合の、シミュレーションによる計算(上)と
実験での測定(下)により抵抗(Cd)値を⽐較。
計算値では0.106 に対し実験地では0.102 となり、その差わずかに0.004 となった。

シミュレーションツールがスポーツ⽤具の最適化に解をもたらす

瀬尾教授が最初にスポーツ⼯学の研究対象に選んだのはスキーのジャンプ競技だ。まず⾵洞実験によってジャンパーに働く⼒を測定し、それを参照したシミュレーションにより⾶距離を計算した。次いで⾶距離だけでなく、ジャンプ競技の得点に関連する⾶型点などにも注⽬して研究を発展させていった。ここまでは⼈間/選⼿⾃体の動き⽅の研究だが、そこに⼈間以外の要素が加わる。⼭形市にあるスキージャンプ台の改修に当たって、⼭形市から設計に関する相談を受けたが、その設計条件は「技術のある⼈が勝てる」「選⼿が安全に着地できる」「建設費を最⼩に」というものだった。瀬尾教授は、着地曲⾯を⾶⾏曲線と平⾏になるよう⼯夫し、ジャンパーが⾶⾏中に姿勢制御をミスすると⾶距離に敏感に響くような設計を、⾶⾏軌跡シミュレーションと最適化に基づき、提案した。「ジャンプ台をいくつも作って試すことはできないので、シミュレーションツールが役に⽴ちました」

img2最適設計したクラレ蔵王シャンツェ。⼯期半年、予算7 億円で提案した最適斜⾯形状を実現。シミュレーションがなければ、設計は不可能であった。

その後、サッカーボールやラグビーボールのぶれ球の研究を⼿掛けた瀬尾教授が、記録を⽬的として研究対象にしたのが円盤投げだ。円盤投げの円盤は⼥⼦の場合、直径が180 ~182 ミリ、厚さが37~39 ミリと、サイズに少し幅がある。そこで、ANSYS Fluent を使い、円盤の直径や厚みなどの設計変数を少しずつ変えたものを作って、円盤に働く⼒を計算した。変数の組み合わせは数百になるため現物を作って試すことは事実上不可能だが、シミュレーションならばまったく問題ない。こうして空⼒的に最適化した円盤モデルは、製品化には⾄っていないものの、世界レベルのアスリートが投げる速度や⾓度、回転を与えて投てきするとしたとき、計算上は⼥⼦世界記録(76.80m)を1m 以上上回る結果が得られた。空⼒的に最適化した円盤モデルはアスリートが投げやすい形になっているかどうかといった課題は残るが、これまで経験と勘で作られていた円盤に、⼯学的なアプローチによって最適解が得られ、記録が伸ばせる可能性を⽰せたことは、ANSYS のシミュレーションツールを使ったから得られた⼤きな成果といえる。瀬尾教授は現在、同様のアプローチでやり投げのやりの最適化の研究を進めている。

img3 ANSYS Fluent を使⽤して⾶翔する円盤の周りの空気流れを計算

img4最適⾶翔(世界記録)シミュレーション結果

これからのスポーツ⼯学において、シミュレーションが活躍できるのは間違いないと瀬尾教授は話している。「特に最適化ツールが活躍できると思います。スポーツは遠くへ投げたいとか速く⾛りたいとか⽬的があってやるものです。それをうまく物理量にすることができれば、後は最適化ツールで解を求めればいいのです。こうして少し楽になった分、ほかの研究に時間をかけられますからね」

使用したANSYS 製品
ANSYS Academic Research Mechanical & CFD
ANSYS Fluent
ANSYS CFX
ANSYS Mechanical Enterprise
– 他

製品使用における利点
試作することが困難な対象をモデル化し、変数を変えて多数を⽐較

(記事参照元)
http://www.ansys.com/ja-JP/other/ja-jp/customer/yamagata_university

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